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アマ無線千夜一夜物語 97/03/05 02:40
無線関係のよもやま話を、まあCWが好きということもあってこの
フォーラムに書き記してみます。つまらなかった読み飛ばして下さい。

第一夜:遅れ受信

昔々のそのまた昔、有線電信や無線電信による電報が華やかだったころ、銚子無線局(JCS)や長崎無線局(JOS)にはとんでもないオペレータがごろごろいたそうです。このような凄腕のオペレータの話はJAのCQ誌にも過去時々紹介されていました。

表題の遅れ受信とは、高速の電信をコピーするための技で、電文用紙などにハードコピーをうまくとるため、その瞬間に聞いている文字と書き取っているまたはタイプに叩いている文字が数文字ずれていることを指します。高速の要求されるライセンスを目指す人は、ハードコピーつまり鉛筆で書いて自分の能力を示す必要があるので必須の技術になります。しかし、ハードコピーを必要としない、つまりQSOしていて自分さえわかれば良いとす
る人で、暗記受信により単語またはセンテンスがばんばん出てくる人に取っては書き記す必要がないので、全く無用の技術です。(もちろん頭の中で自動プロセスになっているか
らですが。高速和文で不要のように。)

ある晩、無線局の新米オペレータがベテランオペレータと一緒に当直に入っていました。電報が入電し、電文が音響として流れ始めました。新米のオペレータは、そのベテランオペレータがどう対応するかと見守っていましたが、お茶をすすりながら同僚と世間話をやめようとしません。たぶん女房が屁をこいたといったようなたわいのない話をしていたのでしょう。5、6分経ってから電文が終わりました。すると、そのベテランオペレータはおもむろに操作卓に向き直り、トツートと一発打ったそうです。

これには新米オペレータは度肝を抜かれたそうです。ここでなにが起こっていたのかと言えば、そのベテランは数分間の遅れ受信ができているということです。つまり、顕在意識は世間話、潜在意識には電文が『音のイメージ』(注:文字のイメージではない)として数分間分刻み込まれていたわけです。これが、遅れ受信の究極の姿です。

最近、元銚子無線のオペレータでしたという人に430MHzでQSO出来ました。彼にこの話をしたところ、このような話は伝説として語り継がれていると言っていました。しかし、彼の時代はすでに電報は機械化され、このような能力は必要とされない時代だったそうです。

アマチュアでこの域に達した人を知りませんが、音のイメージとして刻み込む技術は大変重要です。我々が知らず知らずに行っているのは、コンテストのときと、英文ラグチューをしているときでしょう。例えば、コンテストのとき高速でランニングをしていたとき、自分が音のイメージだけでメッセージをやり取りしている事に気付きます。つまり、

1)CQコンテストを連呼する。
2)誰かからよばれ、それを音のイメージとして捕らえる。
3)音のイメージに従って、パドルを操作。頭の中で文字になって いない。
4)メッセージキーヤでナンバーを送る。(私の場合)
5)このとき、音のイメージを文字に変換しつつコンピュータ入力。
6)相手からのナンバーを音のイメージで取る。
7)RとCQコンテストメッセージキーヤで送る。
8)音のイメージに従って、ナンバーを入力。

初心者の頃、点と棒のイメージから脱却するのに時間が掛かりました。次に音のイメージ=アルファベットから音の固まりのイメージ=単語または文章へと上達するにつれ移行していきます。
銚子無線局も廃局となり、長崎無線に統合されたそうですが、しかし昔は凄いオペがいたもんです。

de JP1PXB/JA1VJQ
3/5/97


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