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アマ無線千夜一夜物語(第四話) 97/03/10 03:41

第四夜:トワイライト・ゾーン(Twilight zone)

昔々、トワイライト・ゾーンという米国のスリラー連続番組をやっていた。
子供のころ少年宇宙空想科学小説(なんて古い響きだ)などを読みふけって
いたものにとっては、大変懐かしい番組だ。あの有名なスピルバーグやジョ
ージ・ルーカスなどが子供のころ熱狂していて、彼が作ったリバイバル版の
劇場映画がヒットしたのはそう昔の話ではない。オリジナル版で記憶に残っ
ているのは、ある男がミニチュア模型の町に紛れ込んでしまう恐怖の物語で、
脚本は今でも通用する内容だった。こうした番組は再放送(re-run)でルー
シー・ショー(I love Lucy)やそれいけスマート(Gets smart)などと共に
アメリカではいまだにやっているし、サタデーナイトライブのパロディー
ネタにもなっている。

昔から7Mcが好きで、CWによるDXをよくワッチしていた。リグは807シングル
のTX88Aと9R59のコンビネーションだ。そのころ毎朝よく7Mcを一緒ワッチ
していたのは、友人のJH1S**だった。彼は現在戸塚のH社で人殺しの道具を
作っている。先日戸塚に行った際会ったが彼の亡くなった親父さんの遺伝子
の直撃を受け、頭のてっぺんが不自由になりつつある。当時、彼と話す度に
お互いに疑問に思っていたのは、『なんで朝の5時ごろあたりからヨーロッパ
の信号がSにして1から2くらい跳ね上がるのか』という現象だった。
われわれの最終的な結論は単純で『それは、そうゆうもんなんです。魚だって
朝まずめや夕まずめがあるでしょう。』といった、魚の喰いと電波伝搬を一緒
にする乱暴なものだった。

ところが、今から6年前再開局したころこの疑問が氷解した。これはローバンド、
つまり160,80,40メータのバンドで顕著に見られる現象で、D層の生成と関連
している。ご承知のとうり、D層は比較的重い粒子が電離して出来る層で、
そのため各種の電離層の中で一番低い高度を占める。この層は特に80メータ以下
の波長の吸収が大きく、単に吸収してしまう。昼間にJA1エリヤでは、弱々しい
JA2,JA0の信号をやっと聞くくらいまで減衰してしまう。D層が低くホップの
回数が増えるために減衰するのではないので誤解のないよう注意。日本がもう
すぐ夜明けを迎えるとき、D層が少しずつ形成されはじめる。このころ、D層
の電離度はまだ低く、吸収をせず電波を反射する。明け方の日本から比較的高い
打ち上げ角で発射された電波は、形成途中のD層で打ち上げ角が低く反射され、
ヨーロッパ方向に向かう。逆にヨーロッパからの電波も同じパスに乗り、電界
強度が上がる。こうした薄明期に起こるパスをグレイライン・パス
(Gray line path)と呼んでいる。このメカニズムから、南北のパスに対しては
無効で、東西またはそれに近い方向のパスに有効となる。もう一つのメリットは、
グレーラインより東、つまりとっくに夜が明けている方向からの電波は、
激しい減衰を受けているので、相対的にS/N比が上がっている。

無線記事にこうしたHFの運用が楽しくなる電波伝搬の記事がとても少ないのは
残念に思う。おざなりな電波伝搬の記事は沢山あるが、ほんとに詳しく解説し
た記事が少ない。ハム・ジャーナルも休刊したみたいだからJAのCQ誌でもこう
した方面に力を注いでほしい。恐らく編集長の能力の問題だろうが、昔のハム
・ジャーナルは無線のあらゆる分野で興味の持てる話題が豊富だった。
毎回GHz帯の話じゃ読者から見放されて当然と思う。


de JP1PXB/JA1VJQ
3/10/97


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