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アマ無線千夜一夜物語(第六夜) 97/03/14 02:39

第六夜:飛ぶのが怖い(Fear to fly)

昔々、エリカ・ジョングの小説に『飛ぶのが怖い、Fear to fly』
という小説があった。初の女性の立場から書いた小説ということで
ベストセラーになった小説だ。この小説の内容には触れないが、題
名はいつも気に掛かっている。ハッチ出来ない雛鳥を思い出す。

これは30年以上前の自分の姿であったし、3アマ、2アマに無事合
格したが、オンエアをためらっている局長さんの姿に通じる。雛鳥
が巣立ちの前に、巣穴の前で外をきょろきょろ見たり、ためらいな
がら羽ばたきをするあれだ。当局が大学のクラブ局で初めてハッチ
したときを再現すると。

『せ、せんぱい。絶対後ろについてて下さいね。』
『おー、大丈夫だからさっさと呼べよ。』
『そ、それじゃいきますからね。』
.....DE JA1YAG JA1YAG K.......
JA1YAG DE .............
『せんぱい。応答がありました!』
『呼べば応答があるのは当たり前だろ。』

こんな具合で初飛行を無事終えた当局は、手かぷるぷるふるえてい
たのを思い出す。それでも2学期を過ぎる頃になると、もうコンテ
ストのメインオペレータになって大きい顔をしていた。2学期の途
中から入部したJH1S**は当局を3年生と思っていたそうだ。いまだ
に文句を言われる事がある。

『あのー、無線部に入りたいんですけど。』
『よーし、部長に連絡しといてやるからさ。学科どこなの?』

考えてみると自分は大変幸運だったと思う。非常に伝統のあるクラ
ブで、先輩やOBにはJA1A*Aを始めとする強力なメンバーが揃ってい
た。特にコンテストは目を見張る名オペレータが揃っており、 ALL
JAの優勝を始めとして教わることが多く、CWとコンテスト好きはこ
のとき始まった。JA1YFG,JA1YXP,JA1YDUなどの、今をときめく大学
局を総なめにしていた。また通信科だったので、電気通信術の講座
もあり1年間かけて圧下式から始め、基礎をみっちり教わった。(も
ちろんアマ無線のため)

ハッチをためらう心の葛藤はよく理解できる。また一度ハッチして
しまった人は、あの時なぜあんなにためらったのかと思い起こす。
KSOなんかは非常に単純で、AからZ、1から0の符号覚えたらすぐオン
エアしなさいと言っている。へたで当たり前、恥を恐れずがんがん
行こうという考えかたであろう。ハードウエアが全て揃い、単に飛
び立てない人をV/UHFで見つけるとすぐHFにQSYさせ、強引に1stQSO
に持ち込み、CW初カードをせしめることにしている。この方法で何
人か立派なオペレータに成長している。ベテランは雛鳥の肩を軽く
押してあげるように要望する。当局の押し方は、押すというより後
ろからどつくといった、戸塚ヨットスクールにみたいな側面がある
が、まだ訴えられたことは無い。



de JP1PXB/JA1VJQ
3/14/97


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