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＜＜第２９夜
アマ無線千夜一夜物語（第三十夜 ） 98/03/17 02:35
みなさんこんばんわ。ご要望に答えて帰ってきましたよ。もうすぐ春も
たけなわ。皆様においては野に山にと、バンバンさかりの付いた猫のよ
うにうろつく季節がまいりました。
子供の頃から落語が好きで、いまだに古典落語のテープやＣＤを集めて
楽しんでいる。志ん生、圓生、金馬みんな故人だがいまでも光輝いてい
る。三遊亭金馬の"孝行糖"を小学生以来何十年ぶりに聞いたが、まだ
面白い。こうした人を笑わすという作業は創造力が必要となる。 PXBは
あんまりその才能がないので、もっぱら人をかついだ噺、冗談噺の聞き
役だ。落語というのは、完全に絶滅種であり、特に最近の若い人たちは
（PXBもこんなフレーズをいう年になったか） 長いコンテッキストに耐
えられない。つまり、何が何してとどのつまりがこうなって、大笑いと
いう長いストーリーに付いていけない。わかるのは瞬間芸の世界だけだ。
林家こん平が、新春隠し芸大会に落語をやるなんて話がでちゃ落語も
おしまいだ。
渓流釣りの有名人に『釣山河』の著者山本素石、別名つちのこ先生がい
たが、彼が昔、山の部落でやったいたずらにこんなのがある。 断面が
20cm位の細長い筒状の木箱をつくり、一端に10cm位の丸い穴を開けた。
もう一方の端は開放で、中を注射針のようにピストンのように動く板を
付けて、その中に近くの肥溜から集めた物を押し込んで、ぐいと押し出
しとぐろを巻かせた。それを村中の道端のいたる所に置いたもんだから
さあ大変。こりゃすごい怪物がでた。このけつの穴の大きさはなんだと、
駐在は飛んでくるわ、和尚は飛んでくるわ、村役は駆け回って自警団を
組むわで大騒ぎ。戦前ののどかな話。
数年前430MHzにオンエアしてたら、Ｓさんからブレーク。彼女
は電信を少したしなむ。百合子という名前なので源氏名をYURIにすると
言うから、それはあぶない、露助の男の名前で相手によっては毛むくじ
ゃらの男にとられるるぞと脅したら、なんかセーラームーンのような年
を考えないさばをよんだハンドルにしたようだ。
その彼女が興奮気味に言うには、
『大変、大変、昨日430MHzがすごいパイルアップ状態になってたの知っ
ていた？宮内庁の無線クラブがカードサービスをしてたの。皇太子様
のご成婚を記念して、お二人の写真入りのカードを発行するんだって。
ビーム方向も千代田区とみんな言ってるし、私必死に呼んで取ったわ
よう。数時間サービスして時間だから明日の朝６時からまたこの周波
数で出ますとアナウンスしてQRTしたの。私の友達は取れなかったので、
朝５時から起きてワッチしてたの。そしたら出てこないんだって。』
『そんなあほな！』とPXB。
この仕掛人は非常にセンスがいいと思う。なぜなら、
１） 声もさわやかで落ち着き払い、クールにパイルをさばいていた。
２） 日本では皇室はタブーなので正面切って疑いをコメントできないの
を充分承知して利用。
３） きちんと千代田区界隈から電波を出している。
４） 人に対し甚大な被害を与えていない。
５） ご成婚という時期的なタイミング選びが抜群。
こうした創造性は大したもんだとおもう。さらに、こうした創造性は特
にVHF/UHFで運用する人たちの無線言葉にも遺憾なく発揮される。 一部
にはこうした言葉を非難する向きがあるが、どこの社会にもJARGONはあ
るもんだし、河岸に行って仲買人にその言葉は変だと言えないでしょ。
PXBは内心大いに楽しんでいる。
（無線言葉） （ＰＸＢの内心の突っ込み）
１）持丸様、お取り上げ おれは取り上げばばあじゃない！
有り難う御座います。
２） どーぞー 仏像―
３） どーぞーい どうぞ＋おーい。DXへの呼びかけ格変化。
４） なんて言っています。 お前が言っているんだろう。おまえが。
５） これにてオープン いままでクローズだったのかあ。
６） 次回、433.xxxへ 今回はどこへ行くんだ？？
７） コール交換有り難う... ７コールはいらないよ。交換はいやだ。
８） 名刺代わりにご笑納... 大笑いしてやるぜ。
９） 細々とやっています。 そうだろ。そうだろ。ＧＰは細いもん。
10） メインお借りします。 だれから借りてんだろう？？
ほかにも独創性、創造性がでたのは最近の映画の分野だ。北野タケシが
映画で賞をとるなんて彼のデビュー当時はだれも思わなかったと思う。
少し古くなるが、ホイチョイプロダクションの『私をスキーに連れてっ
て』。こうしたお洒落な青春物語は、ハリウッドで言えばトロイドナ
ヒューまで遡れるが、日本には皆無だった。年間40日もゲレンデに
いた時代もあったことを思いだし、ユーミンのブリザードを聞いて少
しホロリ。
GUD NITE
DE JP1PXB/JA1VJQ