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<<第32夜


第三十三夜 移動運用記 ( Portable Operation in Akita )

今晩わ。昨日秋田県より無事帰還しました。以下は阿仁マタギで有名な秋田県阿仁町での運用記、釣行記です。

米代川水系に属する阿仁川は、上流で打当(うっとう)川と比立内(ひたちない)川に分かれる。なんとか内などという地名は、ここには昔アイヌ部族がいたことを表す地名だ。東北、特に北部には多い。

4/29の朝7:70に大宮駅で待ち合わせ、打当川上流の打当温泉に着いたのは午後6時頃。大慌てで食事を済ませ、FT850、電源、ラップトップ、7MHz用Zeppのセットアップを終えたのが終了2時間前。ルールを読んでダイヤルを回すと、フルスケールの局がひしめき合い、出る場所が無い。気を取り直して呼びに回った。終了1時間前にようやく隙間を見つけて、ランニング開始。さすがに未交信がほとんどでコンスタントに呼ばれたが、リグの限界でかなりの苦戦を強いられた。また内蔵キーが使いにくくタッチミスが多い。

FT850は、最低限の機能を全て備えたFBなリグで、サブ機、移動機に最適なリグだが、コンテストには向かない。回りの599+60dBの局に挟まれて応答してくれた局が、完全にブロックされてしまう。一応500HzのナローフィルタとIFシフトを使ったが限度があった。AGC OFFも無い。そこで取った非常手段は、ATT ONであった。かなり強い減衰を与えるATTで-30dB位は与えているようだ。

この処置でようやく、コールが取りやすくなった。しかし、599位の局は蚊の泣くような音にしかならない。菊池OMは、かなり弱かったのだと思う。(コンディションのせいか、 彼の使用システムのせいかは知らないけどね。) 苦労しながら最終的に100局前後でクローズ、最後の局は腕時計を見ながら滑り込みセーフ。飯能を立つとき電波時計で腕時計を合わせてきた。短い交信だが、馴染み深い各コールサインを聞くことができて満足し、温泉に浸かって明日の朝午前3時起きに備えた。

森吉山はブナの原生林がかなり残っていて、野生が息づいている。
林道の終点まで歩きながら対岸に目をやれば、ブナやミズナラの若葉が風に吹かれて白く光る。またいたる所に雪渓が残り、小さなふきのとうが頭を出している。空は果てしなく蒼く、雪が消えたばかりの黒く湿ったふかふかの斜面には、ゼンマイ、コゴミ、蕗などが一斉に芽を出していた。そして、源流帯の谷地には、早くも水芭蕉が白い姿を見せている。頭上では、繁殖期を迎えた野鳥たちが忙しく飛び囀っている。一つの渓にひとつがいの、白と黒のかすり模様美しいヤマセミが目の前を飛んでゆく。今回の釣行のハイライトは、クマゲラの確認?で、NHKの放送などで、記憶にあるあの鳴き声の黒い大きな影が、50mほど先の木立の中でペアで飛んでいた。

まさしく、もののけ姫の森の精の気配が強く残る場所だ。都会で麻痺した神経でも、あの木霊のカラカラと言う音が聞こえる。白神山地と並び、この森吉山周辺部は最後のブナの聖域となっている。ブナの大木の幹には地衣類が付いて美しいモザイク模様となり、雪の為に根曲がりとなった木のベンチに腰掛け、一人ずっと見ていても飽きが来ない。

釣りの方は、今回はずいぶんと楽しめリラックスすることができた。前日、自分の不注意から尺イワナをランディングした後に逃しているので、今回は仕掛けも強い物を慎重に作り、一気に抜き上げた。尺を越す獲物が石の上で暴れ回っている瞬間は、命の躍動する時間で人間の持つ、太古の狩猟本能を目覚めさせる。この日の魚信は、このとき一回だけこの一匹だけだった。林道終点からたった200-300m遡行したところで、福島からの3人組のパーティに追いつかれ、場所を譲って折り返した。帰りにカモシカを7m位の至近距離で目撃した。彼らは人を恐れない。

みなさんにも、是非秋田、阿仁マタギの里を勧める。山奥を自分の足で歩く気があれば、素晴らしいところだ。

GUD NITE
DE JP1PXB/JA1VJQ

P. S. その後PXBはタラの芽大王に変身し、東山画伯の絵そのままの淡い緑に萌え出た自然を愛でる気分は吹っ飛び仲間を呆れさせています。家で天ぷらにした野生のタラの芽の美味なこと。一昨年の紀伊半島の蓮(はちす)川源流でも、食べ頃を沢山取って帰った。(魚よりも喜ばれる。)


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